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zoom RSS スモーク/SMOKE

<<   作成日時 : 2008/06/06 06:07   >>

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タバコの煙は嘘のとおなじだけの重さ?
人は形に見えないものに救われているのかもしれない。
映画「スモーク」で他人の心の深さを知る。

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 この映画は普通の人が普通に生きてるの。だけど実はみんなが胸の奥に深い深い傷をしまっているのね。普段はそれをタバコ吸って紛らわせたり、雄弁さを身につけるたりすることによって隠して決して表にみせないの。だけど、その心の奥が誰かの一言や、突然のハプニングでふとした一瞬の表情にあらわれる。その表情がすべてを語ってくれるのね。本当に静かな、深みのあるいい映画よ。
 超簡単ストーリー:ブルックリンのタバコやの店主オージーはあることがきっかけで毎日同じ場所、同じ時間で店の前の写真を撮り続けている。そこに来る客、作家のポール=ベンジャミンはこのタバコ屋の前で奥さんが強盗に射殺されてからというものまったく作品を書く意欲をなくしていた。彼はたばこやからの帰り道、赤信号に気づかずに道路を横切り危うく轢かれそうになったところを黒人の少年ラシードに助けられる。そこからラシードとベンジャミンとオージーを軸に人々にまつわるストーリーが展開していく。書いたのはポール=オースター。「偶然の音楽」やNY三部作で有名な作家。
 「一本のタバコの吸殻を集めて重さを測ると、吸った前より軽くなってる。それは煙の重さなんだよ。」となるほどなぁと納得してしまう粋な会話が繰り広げられるブルックリンのタバコ屋さんがこの映画の中心。そしてこれがテーマでもある、スモーク。吸ったぶんだけ軽くなる。煙、、、タバコを吸って吐き出した煙のぶんくらいは人々の心を軽くするんかな。そんな気持ちになった。
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 主な登場人物は5人、オージー(ハーヴェイ=カイテル)とベンジャミン(ウィリアム=ハート)とラシード(ハロルド=ぺリヌー)の軸の3人のほかに、オージーの18年半前の元彼、ラシードの生き別れの父親(フォレスト=ウィテカー)。それぞればらばらのお話があってそれがひとつに繋がってる映画。短編小説があつまって長編小説になってるかんじ。ポール=オースターの世界観にやられます。ポール=オースターっていい作家よ。彼が作家として食べていけるようになるまでの生活を描写したエッセイ「トゥルーストーリーズ」ってのがあるんだけど、それ読んだときに、彼って才能あるのにそれに溺れることなく、自分の求めていること、信じていることにちゃんとこだわっていける強い美しい人なんだって感銘をうけるわ。その彼の人間性がこの映画からもよくわかる。自分を幸せにしてくれるものがなにかって登場人物たちが痛いほどわかってるもの。ああ、泣けるわぁ。
 私のお気に入りのシーンは、真実を語るシーンね。オージーが毎日写真を撮り続けていることをポールに話すシーン。オージーの元彼が、オージーがフェリシティーの父親かもしれないし、違うかもしれないというシーン。ラシードが父親に自分の本名を名乗るシーン。ポールがクリスマスの話のアイディアをたずねにをタバコや訪れるシーン。この映画を観ると、人は誰かに何かを負って生きているんだなぁと強く感じる。お金かもしれないし、罪悪感かもしれない。そしてまたそれをどこかで還元しようとして生きているのかなって思う。
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 最後のクリスマスストーリーのところでふと思ったんだけど、こういうことってオージーとポールの間で日常的に行われているんかなと思ったの。つまりオージーはランチをおごってもらう代わりに、お得意のどこまでが真実でどこまでが虚構かわからないくらい巧みな話を作家のポールにするんだけど、いつもこうしてポールは書くヒントをオージーからもらってるんじゃないかなって思うの。それは作家にしてみたらややタブーなことで、これがまた二人の間の秘密のことなのかなって思ったの。ポールにとって一番欲しいものはオージーの作り話であり、それを聞く場所であり、聞くときに吸うタバコであり、オージーの話と一緒で形に残らずに消えていくスモークなんじゃないかって思うの。
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 役者もすごいのぞろいで見ごたえあるわ。こういう静かな演技ができる役者がちゃんと評価されてる、こういうとこアメリカのいいところよね。彼らみてて、真実語るときって一番力が抜けてるものなのかしらって感じた。本音言ってるときには役者のナチュラルな表情がふとあらわれてた。普通に暮らしてても、嘘言うときって作って守るから大げさになったり、演技的になるものね。そういうとこまでみせてくれたレベルの高いアクターたちにも乾杯!!演技論のいい勉強にもなっちゃった。しかも、ラシードと父親役って実年齢2歳しか差がないの!びっくりじゃない?ハロルド=ぺリヌーはLOSTの出演で時の人になっちゃったし、フォレスト=ウィテカーは今ではオスカー俳優だもの。やっぱりすごいキャストだったのねー。キャスティングの人さすがだよ。素晴らしいです。

 大好きな映画。何度も何度も見直したくなる映画。そこに生きてる人たちの表情がすばらしい。人間の繊細な感情を表情から読み取れる。こういうのってやっぱりハリウッドでなくNYなのよね。死ぬまでに最低あと20回は観るとおもう映画。
 
 

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